財産目録とは、その名の通り所有する財産を一覧にしたものです。終活や相続手続きでは「遺産目録」とも呼びます。また財産には資産だけでなく負債も含むため、財産目録を作るときには書き忘れのないように注意しなければいけません。
そこで今日は、財産目録(遺産目録)の作り方をご紹介します。書くべき項目を3ステップに分けてご紹介しますので、終活中の人はぜひ参考にしてみてください。
目次
3ステップに分ければ意外と簡単!財産目録の作り方
では早速、財産目録(遺産目録)の作り方を1つ目のステップからご紹介します。
ステップ1.資産と負債をザッと洗い出し、整理する
財産目録(遺産目録)を作成するに当たりまず必要なのは、資産と負債の洗い出しおよび整理です。
いざ目録を作成しようと思っても、自分の財産を把握できていなければ作成できません。まずは自分の資産と負債をザッと洗い出し、現時点でどれだけあるのか把握しましょう。
洗い出す資産と負債の例は、こちらです。
資産 | 負債 |
● 預貯金、現金
● 不動産、自動車、船舶 ● 株式、債券、投資信託 ● 保険、年金、共済 ● 宝石、美術品、会員権 |
● クレジットカード、キャッシング
● 各種ローン関連 ● 未払いや延滞のあるもの ● 友人、知人からの借り入れ ● 買掛金(自営業の場合) |
これらの内容を、エンディングノート(終活ノート)やメモなどにザッと書き出してみてください。意外と項目が多くて驚きましたか?
遺産目録を作るなら、これらの全てをそのまま目録にするのではなくできるだけ整理してから作るのがオススメです。残高の少ない預金口座を解約しておいたり不要な不動産や自動車などを売却または処分しておいたりすると、遺産相続のトラブルや遺族の負担を減らせます。
洗い出す方法と整理する方法は、こちらの記事も参考にしてみてください。
生前整理で財産や債務を整理する方法を3ステップに分けて紹介
ステップ2.資産の目録から取りかかろう
財産の洗い出しと整理が終わったら、次は財産目録(遺産目録)の作成に取りかかります。
ザッと洗い出したときとは異なり、財産目録を作成するときは細かい情報まで書き出さなくてはいけません。必要な情報がそろっていなければ財産目録の作成は進められませんので、まずは必要な情報を集めましょう。
例えば土地の財産目録を作る場合は、これらの情報が必要です。
- 所在、地番
- 地目
- 地積
- 所有者
- 評価額
建物の場合は、これらの情報を記載します。
- 所在
- 家屋番号
- 種類、構造
- 床面積
- 所有者、権利者
これらの情報は、法務局で登記簿謄本を取得したり役所で固定資産評価証明書(※)を取得したりすることで確認できます。
※固定資産評価証明書は、マイナンバーカードをお持ちであればコンビニで取得できる可能性があります。詳しくは自治体のウェブサイトにてご確認ください
預貯金や保険など、その他の資産についても詳細を書き出します。
例えば預貯金の場合に書き出す項目は、これらです。
- 金融機関名
- 口座の種類
- 支店名、口座番号
- 口座の名義
- 現時点での残高
細かく書いて損をすることはありませんので、迷った項目については書いておくとよいでしょう。
◇遺言書に添付する財産目録には一定のルールがある
財産目録には、決まった書式がありません。そのため手書きでもプリントアウトした形でも、どちらでもお好きな方で作れます。
ただし遺言書に財産目録を添付する場合は、注意が必要です。遺言書に添付する財産目録には全ページに遺言書を作成した本人の署名と押印が必要で、もし紙の両面に目録を記載したなら両面に署名と押印をしなければいけません。
ただしこれらは自分の字で書かなかった場合のルールです。全ての目録を手書きで書いた場合は各ページの署名や押印が必要ありませんので、ご安心ください。
また不動産の明細については、登記簿の記載どおりに記載しておかなければ無効となる可能性があります。心配な方は、登記事項証明書や預貯金通帳のコピーを添付しておくとよいでしょう。
これらのコピーを添付する場合は念のため遺言書とコピー用紙を冊子状に閉じ、各ページの間に割り印をしておくと安心です。
遺産目録を遺言書に添付する場合は細かい決まりがありますので、よくよく注意してくださいね。
ステップ3.負債の目録を作ろう
資産の目録を作ったら、次は負債の目録を作ります。
資産の目録を作ったときと同様に、それぞれの負債について詳細をまとめてみてください。
例えば住宅ローンの残高があるなら、書き記す項目は以下の通りです。
- 借入先
- ローンの種類
- 毎月の支払額、ボーナス払いの時期と金額
- 引き落とし口座の情報
- 現時点での残高
- 完済予定日
- 契約者、連帯保証人
- 契約者が亡くなった場合の特約
あなた自身が契約者となっている負債だけでなく、連帯保証人を引き受けた契約についても忘れずに記載しておきましょう。
遺族が相続するのは、資産だけではありません。もし連帯保証人になっている契約があることを知らないまま遺産を相続してしまったら、遺族は身に覚えのない負債についても返済の責任を背負うこととなります。
知らなかったでは通らないのが法律です。くれぐれも書き忘れのないよう注意してくださいね。
まとめ
今日は、財産目録(遺産目録)の作り方を3つのステップに分けてご紹介しました。
遺産目録を遺言に添付する場合は、弁護士や司法書士などに代行してもらう方法もあります。特に自筆証書遺言を作成する場合には注意しなければいけません。というのも自筆証書遺言を作成した場合は、誰にも内容を確認してもらわなかったせいで不備に気付かず、無効となってしまう可能性があるのです。
財産目録を作るときは、目的に合わせてしっかりとリスクに備えましょう。