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相続人の廃除とは?概要や注意点、手続きの手順を分かりやすく解説

自分の遺産を渡したくない相手がいる場合、所定の手続きを踏むことでその相手から相続権を奪えます。これは「相続人の廃除」と呼ばれる制度です。では、どのような場合に相続人を廃除できるのでしょうか。

今回は、相続人の廃除について分かりやすく解説します。概要に加えて注意点、廃除が認められる理由と主なケース、手続きの手順などもあわせて紹介しますので、遺産を渡したくない相手がいる人は参考にしてみてください。

 

相続人の廃除とは

冒頭でもお伝えした通り「相続人の廃除」とは相続人から相続権を奪うことです。

 

何かしらの理由で被相続人(相続される財産をもともと所有していた人)が「自分の財産を相続させたくない」と思った場合には、推定相続人※を廃除できます。

 

※推定相続人とは…現状のままで相続が行われた場合に相続人となる予定の人

 

ただし、誰でも簡単に相続権を奪えるわけではありません。

相続人の廃除にまつわる3つの注意点

ここからは、相続人の廃除にまつわる注意点を3つ紹介します。

その1.廃除した相続人の子どもに代襲相続される可能性がある

まず紹介するのは、代襲相続に関する注意点です。

 

相続権を奪った相手に子どもや孫がいる場合、その子たちに代襲相続をする権利があります。

 

代襲相続とは、相続するハズだった人(相続人)が何かしらの理由で相続できない状態になった場合に相続人の子が代わって相続することです。

 

代襲相続について詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にどうぞ。

代襲相続とは?代襲相続となる理由と2つの代表例を分かりやすく解説

 

この制度により、相続権を奪った相手に渡るハズだった遺産は、その相手の子どもや孫に渡る可能性が出てきます。

 

とはいえ、廃除した相続人と被相続人の関係によっては遺言書を書いておくことで代襲相続を防げるかもしれません。もしも廃除した相続人の子どもに代襲相続させたくなければ、遺言書に「○○への代襲相続はさせない」と書いておくと良いでしょう。

 

ただし、代襲相続を遺言によって防げるのは、廃除した相続人が被相続人の兄弟姉妹だった場合のみです。被相続人の配偶者や子ども(孫)を相続人から廃除した場合には、代襲相続を完全に防げません。

 

なぜなら、代襲相続にも遺留分があるからです。

その2.代襲相続にも遺留分がある

遺留分とは、相続する資産のうち法定相続人のために残しておかなければいけない割合のこと。

 

※被相続人が廃除した相続人は、遺留分を請求する権利も奪われます

 

代襲相続にも遺留分があるため、配偶者や子ども(孫)を相続人から廃除しても、その相手に子どもがいる場合は代襲相続という形で相続される可能性があります。といっても、この場合に相続されるのはあくまで遺留分のみです。

 

そう考えると、法定相続分をそのまま代襲相続させたくない場合には、遺言書にその旨を書いておくのが得策といえるでしょう。

 

※遺留分について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください

遺留分とは?遺留分の対象者や割合、計算方法について解説!

 

一方、兄弟姉妹の代襲相続には遺留分がありません。

 

そのため、先ほどもお伝えした通り、廃除した相続人の子ども(被相続人から見た「おい」や「めい」)に遺産を渡したくない場合には、その旨を遺言書に書いておけば代襲相続を防げます。

 

ただし、誰でも簡単に相続人を廃除できるわけではありません。

その3.廃除を認められるケースは多くない

相続人の廃除は、家庭裁判所が認めた場合にのみ成立します。そして、認められるケースは実際のところそう多くありません。

 

これが、3つ目の注意点です。

 

では、どのような場合に相続人の廃除が認められるのでしょうか。

廃除を認められる3つの理由・よくあるケース

相続人の廃除が認められる理由は、次の3つです。

 

  1. 被相続人を虐待していた
  2. 被相続人を著しく陵辱※していた
  3. その他の著しい非行をしていた

 

※陵辱(りょうじょく)とは…人をあなどり、はずかしめること

 

具体的には、被相続人に対して幼い頃からずっと暴力を振るっていたケースや、名誉毀損に当たる行為を長らく行っていたケースなどは上記の理由に当てはまります。

 

また、その他の著しい非行に当たるのは、例えば次のケースです。

 

  • 何度も借金をして親に返済の肩代わりをさせた
  • 罪を犯して服役し、一族の名誉を著しく傷つけた
  • 兄弟姉妹のお金を使い込んだ

 

ただ、こういった行為をしたからといって必ずしも相続人の廃除が認められるとは限りません。実際のところ、相続人の廃除が認められるかどうかは家庭裁判所に申し立ててみないと分からないものです。

 

とはいえ、廃除したい相手にひどいことをされた事実があるなら黙って泣き寝入りをする必要もありません。もしも相手を確実に廃除したいなら、遺言書に記しておくのではなく生前に手続きをしておくのがオススメです。

 

 

相続人を廃除する2つの方法・手順

生前に行う廃除の手続きを「生前廃除」、遺言で行う廃除の手続きを「遺言廃除」といいます。

 

それぞれの手続きについて手順を簡単に紹介しますので、廃除したい相手がいる人は参考にしてみてください。

生前廃除の手続き(手順)

生前に廃除の手続きを行う場合の手順は、こちらです。

 

  1. 家庭裁判所に廃除の請求を申し立てる
  2. 廃除の確定
  3. 戸籍に廃除の旨を記載してもらう

遺言廃除の手続き(手順)

一方、遺言で廃除の手続きを行う場合は以下の手順で進めます。

 

  1. 遺言に廃除したい旨を記載する
  2. 他界後、遺言執行者※が家庭裁判所に廃除の請求を申し立てる
  3. 廃除の確定
  4. 戸籍に廃除の旨を記載してもらう

 

※遺言執行者とは…遺言内容を実現するために必要な行為をする人(権限を持つ人)のこと

 

なおいずれの場合も、相続人の廃除が認められた場合は廃除の確定から10日以内に戸籍の届け出をしなければいけません。

 

 

まとめ

今日は相続人の廃除について、概要や注意点、廃除が認められる理由と主なケース、手続きの手順などを解説しました。

遺言廃除を選ぶ場合、被相続人がしなければいけないのは遺言書を書くことだけです。しかしこの方法では無事に推定相続人を廃除できたかどうかの確認ができないため、確実に相続人を廃除したい場合は生前廃除を選ぶのが得策といえるでしょう。