老人ホームへの入居の際に心配なのは“費用”のことです。年金だけでまかなえるのか不安な方も多いはず。また、入居一時金でまとまったお金が最初に必要という話もあり、貯金をいくら切り崩すのかという不安もあります。
そこで、今日は各施設の費用相場、支払い方法の種類とメリット・デメリット、なぜ入居一時金が必要なのか、をご紹介します。
目次
1.各施設の費用相場
まずは、各施設の費用を入居一時金と月額料金に分けてご紹介します。同じ種類の施設でも立地条件やサービス内容によって費用に幅があります。特に民間施設ではその幅が大きい傾向があります。
※左側:入居一時金、右側:月額料金
①特別養護老人ホーム 0円/5~15万円
②介護老人保健施設 0円/8~14万円
③介護療養型医療施設(新:介護医療院) 0円/9~17万円
④軽費老人ホーム 0~数十万円/10~30万円
⑤ケアハウス(=軽費老人ホームC型) 数十万円~数百万円/10~30万円
⑥介護付き有料老人ホーム 0~数百万円/15~30万円
⑦住宅型有料老人ホーム 0~数百万円/15~30万円
⑧グループホーム 0~数十万円/15~20万円
⑨健康型有料老人ホーム 0~数億円/10~40万円
⑩サービス付き高齢者向け住宅 0~数十万円/10~30万円
⑪シニア向け分譲マンション 数千万円~数億円/10~30万円
入居一時金、月額料金の他に必要な費用
医療費、薬代、入院費、日常生活費(歯ブラシ、お菓子、本、など)は、上記の金額に含まれていないため自己負担になります。
オムツ代は介護保険施設とそうでない施設によって異なります。介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(新:介護医療院))では、オムツが介護保険給付なのでオムツ代の自己負担はありません。一方、介護保険施設でない施設ではオムツは自己負担になります。
2.支払い方法の種類とメリット・デメリット
老人ホームの支払い方法は、入居一時金の支払い方によって3種類に分けられます。ほとんどの施設で利用者が支払い方法を選択できます。
支払い方法①『全額前払い型』
入居一時金を全額前払いする方法です。一時金型、とも言います。
メリット:入居後は大きな費用がかからず、経済的な見通しが立てやすい
デメリット:支払い後、各利用料が値下げされても差額は返金されない
支払い方法②『一部前払い型』
入居一時金の一部を前払いし、残りを毎月支払う方法です。一部月払い型、とも言います。
メリット:一部前払いしている分、月払い型より月額料金は安くなる
デメリット:全額前払い型と比べて、支払い金額の合計が高い場合がある
支払い方法③『月払い型』
入居一時金の前払いをせず、月ごとに分割で支払う方法です。
メリット:
・入居時に大きな費用がかからない
・入居時に大きな費用がかからないため、短期間の利用にも向いている
→他の老人ホームの入居待ちをしながら利用する方もいます。
・月額料金の値下げがされた場合、全額前払い型より安く利用できる
デメリット:なし
3.なぜ入居一時金が必要なのか
施設で生活するにあたり食費・光熱費・施設管理費など毎日使うものに対する支払い(=月額料金)があることは理解できます。しかし、高額な入居一時金が必要なのはなぜでしょうか。
そもそも入居一時金とは
入居一時金とは、“月額料金の前払い分”です。つまり、賃貸物件を借りる時の“礼金”とは異なり、入居一時金は自分の生活のために使われるお金なのです。
なぜ前払いが必要なのか
入居一次金が月額料金なのであれば、前払いなどせず月ごとに利用者から徴収すればいいのでは?という疑問もあります。
しかし、老人ホームを経営する側から考えると、安定した経営と質の高いサービスを確保するための資金繰りが必要です。例えば、施設内の暖房機器が壊れたとします。施設に入居している方は全員が月払い型で、必要なお金は月ごとにしか施設に入ってきません。壊れた暖房機器を修理するには“月額料金3ヶ月分×全員分”のお金が必要です。3ヶ月後まで暖房機器の修理をせず、寒い室内で過ごせるでしょうか。それでは困りますね。このような時に利用されるのが入居一時金です。月額料金が前払いされているので、そのお金である程度大きな金額の修理ができるのです。このことは設備の修理だけでなく、さまざまなサービスを途切れずに維持することに関しても同様です。
まとめ
今日は、各施設の費用相場、支払い方法の種類とメリット・デメリット、なぜ入居一時金が必要なのか、をお伝えしました。
老後は年金収入だけで生活するという方は少なくありません。むしろ、年金が少ない・思いがけない病気やケガで医療費などがかさんだ、と理由から年金だけでは足りず貯金を少しずつ切り崩すという方も多いと思います。老後のお金は心配なことだらけです。
ですが、老人ホームの費用を助成する制度も存在します(助成制度については後の記事でご紹介します)。さまざまなことを知り、老後の心配を少しでも軽くしていきましょう。
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