リハビリを受ける時の選択肢として訪問リハビリと通所リハビリがあります。訪問=自宅で行う、通所=病院・施設へ通って行う、というおおまかなイメージはあるものの実際には何がどう違うの?という疑問も多いと思います。
そこで、今日は訪問リハビリと通所リハビリのちがい、訪問リハビリと通所リハビリの併用についてご紹介します。
目次
1.訪問リハビリ・通所リハビリとは?
訪問リハビリは、リハビリの専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が利用者の自宅を訪問し、リハビリを行うサービスです。リハビリの他に、病状の観察、福祉器具の提案、家族への介助指導、介護相談なども行っています。
通所リハビリ(デイケア)は、利用者が通所リハビリを行っている病院・施設に通い、リハビリを受けるサービスです。リハビリの他に、医師による診察、福祉器具の提案、食事、入浴、栄養指導なども行っています。
両者とも介護保険適用のサービスで、要支援1・2と要介護1~5の方の中で訪問や通所リハビリが必要であると医師が認めた場合に利用できます。
2.訪問リハビリと通所リハビリのちがい
両者ともリハビリをすることに変わりはありませんが、どのようなちがいがあるのでしょうか。3つに分けてご紹介します。
ちがい①リハビリ場所
1番わかりやすいのはリハビリを行う場所です。訪問リハビリは利用者の自宅、通所リハビリは病院・施設でリハビリを行います。
自宅の場合は、いつも自分が過ごしている場所でリラックスしてリハビリができ、病院・施設に通う移動の手間・時間もありません。しかし、誰かを自宅へ呼ぶことに抵抗がある方や他の利用者と交流がしたい方には適さないかもしれません。
通所リハビリの場合は、病院・施設に通う移動の手間・時間はありますが、外出することが気晴らしになったり他の利用者との交流を楽しみたい方にはおすすめです。
ちがい②リハビリ内容
訪問リハビリは、常にマンツーマンで利用者のペースに合わせてリハビリを受けることができます。リハビリの内容も自宅の階段での練習や実際に使用しているベッドからの立ち上がりなど、自宅での日常生活に寄りそったものとなります。一方で、通所リハビリのようにリハビリ機器などは使用できず、リハビリの手段が限定されてしまうこともあります。
通所リハビリは、リハビリ機器などが充実しており、さまざまな動作に対応したリハビリができます。ただ、訪問リハビリに比べるとマンツーマンでリハビリできる時間は少なく、利用者一人ひとりの日常生活に寄りそうことにも限界があります。例えば、階段の上り下りがつらいので訓練したい方であっても、病院・施設で使うリハビリ機器の段差が自宅の階段の段差と同じということはなかなかありません。
ちがい③食事・入浴
訪問リハビリでは食事の提供・入浴サービスがありませんが、通所リハビリでは食事の提供・入浴サービスがあります。
食事は栄養バランスが考えられた献立になっており、他の利用者との会話を楽しみながら食事ができるのも良い点です。入浴は個人の身体能力に沿った介助を受けながら楽しむことができます。
3.訪問リハビリと通所リハビリは併用可能
訪問リハビリと通所リハビリは併用可能です。ただし、通所リハビリのみでは移動・更衣・入浴などの日常動作の自立ができず、自宅での環境に特化したリハビリが必要と判断されることが条件です。通所リハビリでは機器を使いながら基本動作訓練を行い、訪問リハビリでは実際に使用しているベッドやトイレ・浴槽などを用いながら日常動作の訓練を行います。機器での基本動作訓練と自宅環境での練習によってより効果的に日常動作の自立を目指します。
併用時の例を挙げてみましょう。
例)Aさんの希望:自宅の階段の上り下りができるようになりたい
通所リハビリでの取り組み…立ち上がり練習、平行棒内歩行、段差練習
訪問リハビリでの取り組み…使用している布団からの立ち上がり・歩行練習、自宅階段での階段練習
全国的にはまだ少ないですが、通所リハビリと訪問リハビリを同じ事業所で行っているところがあります。同じ事業所の場合、担当者が同じなので自宅環境下での日常動作の自立度合いや階段の段差・浴槽の高さを考慮しつつ、通所リハビリでの機器トレーニングを指導してくれるのが良いところです。また、同じ担当者という安心感も大きいです。
訪問リハビリと通所リハビリの併用を考えている方は事業所の選び方もポイントの一つになりそうです。
まとめ
今日は、訪問リハビリと通所リハビリのちがい、訪問リハビリと通所リハビリの併用についてお伝えしました。
訪問リハビリと通所リハビリはどちらが良いということではなく、それぞれに特徴がありその特徴を活かして利用するのが自立への近道だと思います。双方に良い点・悪い点がありますので、利用者の目的や妥協したくないポイントなどを考えながら利用しましょう。事業所選びに迷った時や利用していて困ったことがあれば、ケアマネージャーさんに相談してみましょう。