いざ公正証書遺言を作ろうと思っても、何から始めればいいか分からない人は少なくないでしょう。ましてや証人が必要ともなれば、どんな人を選べばいいか迷ってしまいますよね。
そこで今日は、公正証書遺言の作り方を5つのステップに分けて解説します。証人になれる人となれない人についても解説しますので、公正証書遺言の作り方を詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
目次
公正証書遺言の作り方!ステップは全部で5つ
公正証書遺言を作りたいときは、手順を5つのステップに分けて考えると簡単に進められます。
ステップ1.遺言書の内容を考えよう
公正証書遺言を作りたいときは、まず遺言の内容を自分で考える必要があります。
後で公証人が相談に乗ってくれますので、ここでは大体の内容を考えておけばOKです。
例えば、
- 相続する資産の内訳
- 相続人
- 相続の割合
などをメモやエンディングノートにまとめておくと、後で相談するときに困りません。
エンディングノートは、別名を終活ノートといいます。その名の通り、終活の際に使うノートです。
エンディングノートについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にどうぞ。
終活の基本【2】エンディングノートとは?遺言との違い
また、遺産目録(財産目録)をまだ作っていない人は、こちらの記事を参考に作ってみてください。遺言内容を考える際だけでなく、遺言書を作る際にも役立ちますよ。
財産目録(遺産目録)の作り方・書くべき項目を3ステップで解説
ステップ2.証人を考え、お願いしよう
遺言内容をまとめたら、次は証人を用意するステップです。
公正証書遺言には2人の証人が必要なため、このステップで誰にお願いするか決めておきます。後で断られると困りますので、実際にお願いするところまでをこのステップで済ませておきましょう。
ただし、次の項目に当てはまる人は証人になれません。
- 未成年者
- 推定相続人(相続が開始した場合に第1順位の相続人となる者)
- 受遺者(遺言によって財産の贈与を受ける者)
- 受遺者の配偶者および直系血族(※)
- 公証人の配偶者および4親等内の親族
- 公証役場の書記や使用人など
※直系血族とは、直系の関係にある血族のこと。直系とは、親子関係によって連なる血縁者を指す(祖父母・父母・子・孫など)
証人は、遺言の内容を確認してから署名・押印します。そのため証人には、遺言内容を知られても問題のない相手を選ぶことが重要です。
もし友人や知人に信頼できる相手がいなければ、次の相手に依頼することを検討してみてください。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
こういった専門家とのつながりが特にない人は、公証役場に相談してみるとよいでしょう。証人は公証役場でも紹介してくれます。
なお、証人には謝礼(日当)として1人につき5,000円~1万5,000円ほど現金を渡すのが一般的です。忘れずに覚えておきましょう。
ステップ3.必要書類を集めよう
証人が決まったら、次は必要書類の準備をするステップに入ります。
公正証書遺言の作成に必要な書類は、こちらです。
- 印鑑証明書、実印
- 遺言者と相続人との続柄が分かる書類(戸籍謄本※)
- 受遺者の住民票(法人の場合は登記簿謄本)
- 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
- 不動産の登記簿謄本
- 証人の住所、職業、氏名、生年月日を書いたメモ
- 遺言執行者の住所、職業、氏名、生年月日を書いたメモ(相続人や受遺者以外を遺言執行人にする場合のみ)
- 不動産以外の遺産を記したメモ、通帳のコピーなど
※遺言者および相続人の戸籍謄本だけでは続柄が分からない場合、その他の戸籍謄本も用意が必要。用意する書類が分からない場合は公証人との打ち合わせ時に相談可
なお印鑑証明書や戸籍謄本は、取得後3か月以内の書類を用意する必要があります。
打ち合わせをしている間に期限が切れてしまうと困りますので、遺言内容が複雑になりそうな人は書類を用意する前に公証人へ相談するのが得策といえるかもしれません。
分からないことがあるときは、焦らず公証人に相談するとよいですよ。
ステップ4.公証役場で遺言内容を相談しよう
続いて、公証役場で公証人に相談をするステップへと入ります。
まずは最寄りの公証役場やアクセスしやすい公証役場を選び、電話かメールで問い合わせてみましょう。相談の予約を済ませてから訪れると、待ち時間が少なく済むハズです。
公証役場を探す際は、こちらのページを活用してみてください。電話番号やメールアドレスも、こちらの一覧に載っています。
公証人に相談をする際は、用意した書類を全て持参するのがオススメです。足りない書類があれば教えてもらえますので、ご安心ください。不足している書類があれば、郵送やFAXで送る形でも対応してもらえます。
相談内容を元に公証人が遺言書の原案を作ってくれますので、修正の必要があれば修正してもらいましょう。
こうして何度かの打ち合わせを経たら、いよいよ遺言書が完成します。
ステップ5.証人と一緒に公証役場へ!遺言書が完成
最後は証人と一緒に公証役場へ行き、遺言書の内容を確かめるステップです。
当日は、まず公証人が遺言内容を読み上げます。そしてその内容を聞いた遺言者と証人が遺言書に署名・押印した後、公証人が署名・押印したら遺言書の完成です。
最後に費用を精算すれば、遺言書の作成にかかる手順は全て終了となります。
公証人役場へ支払う手数料については、こちらをご確認ください。
▷『Q. 公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらいかかるのですか?|日本公証人連合会』
なお遺言書の原本は公証役場で保管され、遺言者は持って帰れません。その代わりに渡されるのが、正本や謄本です。正本や謄本を紛失してしまった場合には再発行してもらえますが、正本は原本と同じ効力を持つため大切に保管しておきましょう。
まとめ
今日は、公正証書遺言の作り方を5つのステップに分けて解説しました。
難しそうに見えても、こうして手順を分けるとそんなに大変なものではないことが分かっていただけたのではないでしょうか。公証人がサポートしてくれますので、自筆証書遺言や秘密証書遺言に比べると作成のハードルは低いと考えられます。
それでも自分で遺言内容を考えるのが難しいと思う人は、専門家に相談するとよいでしょう。