一度作成した遺言を撤回(取り消し)・変更することはできる?

遺言書を作成した後に、考えが変わり、作成した遺言の撤回(取り消し)や遺言内容の変更をしたくなることもあるでしょう。そもそも遺言の撤回や変更をすることは可能なのでしょうか?どのように … 続きを読む 一度作成した遺言を撤回(取り消し)・変更することはできる?

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遺言書を作成した後に、考えが変わり、作成した遺言の撤回(取り消し)や遺言内容の変更をしたくなることもあるでしょう。そもそも遺言の撤回や変更をすることは可能なのでしょうか?どのようにすればよいのでしょうか?今回は遺言の撤回や変更について解説します。

 

遺言の撤回(取り消し)や変更は自由にできる

一度遺言書を作成すると、その内容に縛られると思ってしまいそうですが、そのようなことはありません。時間が経過すると考えが変わることは誰にでもあります。最後の本人の意思が最も尊重される必要があるので、遺言の撤回や変更は何度でも自由にすることができ、日付が一番新しい遺言が優先されます。

また、例えば、遺言で妻に相続させることとしていた不動産を、生前に他人に売却してしまうこともできます。その場合は、遺言のその部分について撤回されたこととみなされます。

 

遺言の撤回(取り消し)・変更するときの方法

①遺言を撤回する方法

遺言のすべてを撤回したいとき、自筆証書遺言や秘密証書遺言であれば、遺言書の原本を破棄してしまえば、撤回したこととなります。

公正証書遺言の場合は、手元にある公正証書の「正本」や「謄本」を破棄しただけでは、撤回したことにはなりません。「以前の遺言を撤回する」という遺言を新たに作成する必要があります。新たに作成する遺言は公正証書遺言でも自筆証書遺言でも構いません。ただし、自筆証書遺言の場合は、見つからない可能性もあるため、公正証書遺言にしておく方がよいでしょう。

 

②遺言内容の全部を変更するとき

先に作成した遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言であれば、遺言書の原本を破棄して、新たに一から作成するとよいでしょう。

先に作成した遺言書が公正証書遺言の場合は、先に作成した遺言の全部の撤回と新しい内容の遺言内容を記した新たな遺言書を作成する必要があります。

 

③遺言内容の一部を変更するとき

遺言の一部を変更するとき、自筆証書遺言で修正箇所が少ないときは、遺言書を直接修正して変更することができます。改ざんを防止するため、民法968条2項では自筆証書遺言の訂正方法が次のように定められています。

民法968条2項自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

変更する際は上記に従って、適切な方法で行わなければなりません。
具体的には次のようにするとよいでしょう。

自筆証書遺言を直接修正する方法

①変更する箇所に二重線を引く
②変更箇所の側に修正内容を記入する
③変更箇所に捺印をする。
④欄外に「第●項●行目●文字削除●文字加入」などと記載し、その後に署名する。

自筆証書遺言で変更箇所が多い場合や公正証書遺言を変更する場合は、先に作成した遺言の一部の撤回と変更後の遺言を記した新たな遺言書を作成することとなります。

秘密証書遺言の場合は、開封すると秘密証書遺言としては無効となるため、一から作成することとなります。なお、自筆証書遺言の要件を満たしているとき、自筆証書遺言として有効となることがあります。

 

遺言内容を変更するときの注意点

変更内容を明確にする

遺言内容を変更する際は、どの遺言のどの部分をどのように変更するのかを明確にする必要があります。これらが曖昧な場合は、変更が無効になったり、トラブルの原因となります。

 

自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、新しい遺言が見つからない可能性がある

変更後の遺言を自筆証書遺言や秘密証書遺言で作成した場合、変更後の遺言書が発見されない可能性があります。その場合は、自身の最後の意思とは異なる形で、相続されてしまいます。また、遺産分割後に、新しい遺言が見つかった場合は、トラブルの原因となります。

変更後の遺言を自筆証書遺言や秘密証書遺言で作成する際には、そのようにならないように注意しておく必要があります。

 

一部を変更したときは、以前の遺言の内容が残る

遺言内容を一部変更したときは、以前の遺言の内容が残ることとなってしまいます。

例えば、ある不動産をもともとAさんに相続させる内容だったのに、気が変わりBさんに相続させることとなった、ということが古い遺言と新しい遺言でわかることとなります。

それ自体に法律上の問題はありませんが、もしかしたら、Aさんは「Bさんが遺言内容を変えるように唆したのではないか!?」と疑い、そのことが原因となりAさんとBさんが不仲になるということも考えられます。遺言を変更する際は、残された家族の気持ちにも配慮してあげるとよいでしょう。

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まとめ

一度遺言書を作成したとしても、遺言の撤回や変更は自由にすることができます。ただし、新しく作成した遺言に不備があると、それが原因でトラブルになることも多くあります。遺言の撤回や変更をする際は、不備がないように慎重に行わなければなりません。相続対策のことも考えて遺言内容を決めたいときは、みんなの相続相談・大阪の遺言書作成サポートをお気軽にご利用ください。