事業承継補助金(後継者承継支援型、経営者交代タイプ)とは、事業承継を契機に、経営革新等や事業転換を行う中小企業者に対して、その新たな取組にかかる経費の一部が補助される制度です。今回はこの事業承継補助金について解説します。
事業承継補助金を利用できるケース
まず、事業承継補助金を利用できるケースを事例で見ていきましょう。
<経営革新の例>
・飲食料品小売業者が顧客から飲食料品以外の取扱いの要望を受け、従来とは異なる商品を取り扱った商店を出店し、新たな顧客層の開拓につなげ、売上の増加を図った。(最大200万円の補助)
<事業転換の例>
・市場環境の悪化により大幅な赤字に直面している業務用資材卸売業で、後継者がITを活用した在庫管理の導入や新商品の展開による新市場開拓を行うとともに、不採算事業・ノンコア事業からの撤退を図った。(最大500万円の補助)
・業績が低迷している複数店舗を持つ鮮魚店において、事業承継補助金を活用して店舗改装と一部の店舗の閉鎖と統合を行い、また、鮮魚を提供する創作料理店へ業態変更した。(最大500万円の補助)
経営革新や事業転換は様々な方法が考えられますので、幅広い活用が考えられます。
事業承継補助金の補助対象者
事業承継補助金の補助対象者は次のすべての要件を満たす者です。
①平成30年12月31日までの間に事業承継(代表者の交代)を行ったか行うこと。
②取引関係や雇用によって地域に貢献する中小企業であること。
③経営革新や事業転換などの新たな取組みを行うこと。
また、後継者は、一定程度の知識や経験を有していることが求められています。
具体的には次のいずれかに該当する後継者が対象となります。
①経営経験を有している者(役員・経営者3年以上)
②同業種での実務経験などを有している者(勤務6年以上)
③創業・承継に関する一定の研修等を受講した者
事業承継補助金の補助上限と補助率
事業承継補助金の補助上限は次のとおりです。
・経営革新を行う場合・・・最大200万円(150万円)
なお、事業所の廃止や既存事業の廃止・集約を伴う場合は、廃業費用として最大300万円(225万円)上乗せされます。
( )内は個人事業主を含む小規模企業者以外の者である場合
また、事業承継補助金の補助率は次のとおりです。
・個人事業主を含む小規模企業者・・・・2/3
・上記以外の者・・・1/2
事業承継補助金の応募方法
①事業承継補助金の応募予定の中小企業者は、まず認定支援機関へ相談します。
(みんなの相続相談・大阪は認定支援機関です。)
②その後、補助金事務局に必要書類を添えて応募し、審査が行われます。
審査の結果、採択された場合は採択通知が送付されます。
審査では次の観点から事業の評価が行われます。
a新たな取組の独創性
b新たな取組の実現可能性
c新たな取組の収益性
d新たな取組の継続性 など
③事業実施後、補助金の交付を受けるための報告等を行います。
なお、公募期間は2018年4月27日から2018年6月8日までとされています。
希望される方はお早めに認定支援機関に相談してください。
まとめ
事業承継補助金(後継者承継支援型~経営者交代タイプ~)を解説しました。地域経済への貢献や2018年中に事業承継を行っていることなどの要件が設けられていますが、これらの要件を満たせば、幅広い取組に補助を受けることができる可能性がありますので、ぜひご利用を検討されてはどうでしょうか?