相続税の計算にあたって、一定の債務については、相続税の課税財産から控除することができます。では、葬式費用なども遺産総額から控除することができるのでしょうか?また、そのときの注意点はあるのでしょうか?税理士がポイントを解説します。
相続税の計算で葬式費用は遺産総額から控除することができる!?
相続税の計算にあたって、一定の債務については、相続税の課税財産から控除することができます。また、葬式費用などについても遺産総額から控除することができます。相続税の課税財産から控除することができるということは、その分だけ、相続税が少なくなる、ということです。
遺産総額から差し引くことができるもの
相続税を計算するとき、葬式費用は債務ではありませんが、相続により通常生じるものであるため、遺産総額から差し引くことができます。このとき遺産総額から差し引くことができる葬式費用は、次のようなものです。
(1) 死体の捜索、死体や遺骨の運搬にかかった費用
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
(4) お通夜などの葬式前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用
(5) お寺などに対する読経料などのお礼
これらの費用は相続税の計算にあたって控除することができますので、葬儀会社などから請求書や領収書といった金額の根拠となる書類を受け取ったときは、無くさないように保存するようにしておきましょう。もし、無くしてしまったときは再発行を依頼してください。
お寺などに支払う御礼などは、通常、領収書をもらうことができませんよね。このような費用については、領収書がなくても控除することができますので、支払った金額をメモに残しておいてください。なお、控除することができるのは、あくまで社会通念上合理的と考えられる金額です。何百万円を支払ったというメモを残していたからといって、その金額が控除できる訳ではありません。
遺産総額から差し引くことができないもの
香典返しや墓石、墓地の買入れ費用等、初七日や法事などのためにかかった費用は、葬式費用には該当せず、遺産総額から差し引くことはできません。
なお、被相続人が生前にお墓を購入していたときのお墓は相続税がかからない財産とされています。相続後にお墓を購入しても控除することはできませんが、相続前に購入しとくと相続税がかかりません。つまり、お墓は生前に購入しておくと、相続対策(生前対策)になるのです。
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まとめ
相続税の計算にあたって遺産総額から控除することができる葬式費用について、及び、控除するときの注意点について解説しました。葬儀前後はとにかくバタバタしますので、葬儀会社から受け取った請求書や領収書を紛失してしまうことが多くあります。そうならないように注意するようにしましょう。