宅地については、原則として、路線価等をもとに評価しますが、近隣と高低差があって使いにくい、墓地に面している、騒音がうるさい、など土地の状況は様々です。このように利用価値が著しく低下していると認められるような場合にはどのように評価をすることになるのでしょうか?税理士がポイントを解説します。
利用価値が著しく低下している宅地はどのように評価する?
宅地については、その評価単位ごとに、路線価方式や倍率方式により評価します。
しかし、近隣の状況と比べて、利用価値が低下しているものと考えられるような場合でも同様に評価するのは不公平です。
そこで、近隣の宅地の利用状況と比べて、利用価値が著しく低下していると認められる場合には、評価を減額することが認められています。
利用価値が著しく低下していると認められる場合
利用価値が著しく低下していると認められる宅地とは、次のようなものをいいます。
1 道路より高い位置や低い位置にある宅地で、その付近の宅地と比べて著しい高低差があるもの
2 地盤に甚だしい凹凸のある宅地 3 震動の甚だしい宅地 4 1から3以外の宅地で、騒音、日照阻害、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの |
「著しい・甚だしい」など少し曖昧ですが、これについて具体的に決められた基準はありません。近隣の状況などと比べて、実質的に判断することが求められます。
どの程度減額できますか?
これらの宅地等に該当する部分は、10%減で評価します。
減額されるのは宅地等の全体ではなく、あくまで利用価値が著しく低下していると認められる部分の面積についてのみとなります。
(例)
自用地の評価:1㎡ 150,000円
宅地等の面積:500㎡(うち、100㎡は利用価値が著しく低下)
宅地等の評価額の計算は次のようになります。
150,000円×500㎡-(150,000円×10%×100㎡)=73,500,000円
なお、路線価等がもともとその利用価値が著しく低下している状況を考慮されて付けられている場合には、10%減をすることはできません。もともと考慮されている上に、さらに減額をすると二重の減額となってしまうからです。
例えば、同じ路線価が付いている道路に面している宅地で、自分の持っている土地の一部分だけが利用価値が著しく低下していると認められる宅地に該当しているような場合は、路線価がそのことを考慮しているとは言えないでしょう。逆に、大半の土地が、そのような状況にある場合は、路線価はそれらを考慮して付けられているものと考えられます。
まとめ
近隣の宅地等と比べて利用価値が著しく低下していると認められるのに、同じ評価すると不公平になりますから、このような減額が認められています。該当する場合には、忘れずに適用するようにしましょう。