相続対策(生前対策)の方法の一つに、生前にお墓や仏壇を購入しておく、という方法があることをご存じでしょうか?今回は生前にお墓や仏壇を購入するとなぜ相続対策になるのか、借入金で購入しても相続対策になるのか、について税理士がポイントを解説します。
生前にお墓や仏壇を購入すると相続対策になる!?
生前にお墓や仏壇を購入すると相続対策(生前対策)になる、という話を聞いたことはありますか?
実際にそのとおりなのです。
例えば、200万円を支払ってお墓や仏壇を購入すると、相続財産となる現金が200万円少なくなります。一方で、お墓や仏壇は相続税のかからない財産であるとされています。そのため、単純に200万円の相続財産が少なくなる結果となり、それに対応する分だけの相続税が少なくなることとなります。
相続対策のことだけではなく、残された者のことを考えると、生前にお墓や仏壇を準備しておくことは意味のあることでもあります。
お墓を購入したときの借入金は債務控除できる?
相続税を計算するにあたって、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものについては相続財産から差し引く(債務控除)ことができます。差し引くことができる債務には、借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものも含まれます。
では、例えば、父が、亡くなる1年前に銀行からの借入で、200万円のお墓や仏壇を購入し、その借入残高が残っているような場合にも相続財産から債務控除することはできるのでしょうか?
もしこれができるとすると、現金でお墓や仏壇を購入したときと同じように、借入金でお墓や仏壇を購入したとしても相続対策(生前対策)ができることとなります。
しかし、残念ながら、お墓や仏壇を購入したときの借入金は、債務控除することができません。
そもそも、被相続人が生前に購入したお墓や仏壇は、相続税の課税価格に算入されない財産(非課税財産)です。その非課税財産の取得に係る債務は、相続税の課税価格の計算にあたって差し引くことはできない、とされているのです。
借入だけではなく、代金を支払う前(未払であるとき)に亡くなり、未払金が残ったときも同様です。
先ほどの例では、購入したお墓や仏壇は相続財産とはなりませんが、その一方で借入金を負債として控除することができませんので、購入前と購入後で相続税の課税価格は変わらない、ということとなります。
(関連記事)相続税の計算にあたって、相続財産から控除できる債務とは?
まとめ
お墓や仏壇を生前に購入すると相続対策となりますが、借入金で購入したり、代金が未払のままだったりすると、相続税の節税には繋がらないので注意してください。
その他にも相続対策(生前対策)をお考えのときは、みんなの相続相談・大阪にお気軽にご相談ください。