相続税の計算にあたって、貸地や貸家建付地については、賃借権等の権利により土地の利用の制限を受けるため、自用地としての評価額から減額されます。では、貸駐車場として利用している土地についてはどのように評価することになるのでしょうか。税理士がポイントを解説します。
目次
貸駐車場は原則として自用地として評価する
相続税の計算にあたって、貸駐車場として利用している土地は、原則として、自用地としての価額により評価をします。
貸駐車場というのは、その土地で一定の期間、自動車を保管することを引き受けるものです。土地の賃貸借とは本質的に権利関係が異なり、駐車場の利用権は、その契約期間に関係なく、その土地自体に及ぶものではないと考えられるためです。
つまり、貸駐車場には賃借権のような土地の利用の制限がないため、自用地として評価することとなるのです。
駐車場であっても自用地以外の評価となる場合
上記のように、貸駐車場は自用地として評価するのが原則ですが、次のような場合には自用地としての価額以外の価額で評価することができます。
①駐車場の利用者が車庫などの施設を作った場合
車庫などの施設を駐車場の利用者が負担して造ることを認め、その契約に基づいて、土地を賃貸し、賃借人が自ら駐車場施設を作っている場合は、土地の賃貸借契約となり、賃借権を考慮する必要があります。そのため、その土地の自用地としての価額から、賃借権の価額を控除した金額で評価します。
②駐車場の貸付けの状況が建物と一体と認められる場合
駐車場の利用者がすべて貸マンション、貸アパートの入居者であるなど、駐車場の貸付けの状況が建物と一体と認められる場合には、建物と駐車場の全体で一利用単位とみて、その敷地全体を貸家建付地として評価することができます。
ただし、この場合でも、次のようなケースでは、貸家建付地として評価することはできません。
・駐車場の利用者に建物の入居者以外の者もいる場合
・駐車場が建物の敷地外にある場合 |
上記のケースでは、建物と駐車場が一体として利用されているとは考えられないため、貸駐車場の部分は独立して、自用地として評価する必要があります。
貸駐車場に小規模宅地等の特例の適用はできる?
貸駐車場として利用している土地について、他の要件を満たしている場合には、小規模宅地等の特例を適用することができます。
ただし、小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地等は、建物や構築物の敷地の用に供されているものでなければなりません。そのため、砂利敷の駐車場やアスファルト舗装した駐車場であれば、適用することができますが、青空駐車場のように土地上に構築物がない場合は、小規模宅地等の特例の適用対象とはなりません。
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まとめ
貸駐車場の相続税評価について解説しました。原則として、自用地として評価することとなります。また、小規模宅地等の特例の適用対象となるかどうかは、土地の上に構造物があるかどうかで判断がわかれます。よくわからないときはみんなの相続相談・大阪までお気軽にご相談ください。