【2026年最新】相続時精算課税制度とは?改正後のポイントを税理士が解説

一定額以上の贈与を受けた際には贈与税がかかります。贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、受贈者(もらう人)が選択できます。 2024年の大きな税制改正 … 続きを読む 【2026年最新】相続時精算課税制度とは?改正後のポイントを税理士が解説

この記事は約5分で読み終わります。

一定額以上の贈与を受けた際には贈与税がかかります。贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、受贈者(もらう人)が選択できます。

2024年の大きな税制改正を経て、2026年現在、相続時精算課税制度は「一度選ぶと損」というかつてのイメージを払拭し、非常に強力な生前対策ツールとなっています。今回は、最新の相続時精算課税制度のポイントを解説します。

相続時精算課税制度とは?

通常、贈与税は1年間(1月〜12月)の贈与額に応じて計算されます(暦年課税)。 対して「相続時精算課税制度」は、贈与時には税負担を抑え、将来の相続時に「贈与した財産」と「相続した財産」を合算して相続税を計算し、一括精算する仕組みです。

さらに、2024年以降、この制度には「年110万円の基礎控除」が加わり、使いやすい制度となりました。具体的な仕組みは以下の通りです。

1.毎年の基礎控除(110万円): 贈与を受けた金額のうち、年間110万円までは非課税です。この110万円分は将来の相続財産に加算する必要もありません(ここが最大の改正ポイントです)。

2.特別控除(2,500万円): 110万円を超えた分については、累計2,500万円まで贈与税がかかりません。

3.贈与時の納税: 累計2,500万円を超えた部分については、一律20%の贈与税を支払います。

4.相続時の精算: 将来、相続が発生した際、過去に贈与された財産(110万円超の部分)を相続財産に持ち戻して相続税を計算します。既に支払った贈与税がある場合は、相続税額から差し引かれ、多すぎた場合は還付されます。

<具体例:2,000万円を一括贈与した場合>

暦年課税と相続時精算課税(2026年時点)で比較してみましょう。

  • 暦年課税の場合: 贈与税 =(2,000万円 - 110万円)× 税率50% - 控除額225万円 = 720万円

 

  • 相続時精算課税の場合: 贈与税 =(2,000万円 - 基礎控除110万円 - 特別控除1,890万円)× 20% = 0円 (※特別控除枠がまだ610万円残り、翌年以降の贈与で用いることができます)

将来の相続時に2,000万円から110万円を引いた「1,890万円」を相続財産に加算しますが、相続財産の総額が基礎控除内であれば、最終的な税金は一切かかりません。

(関連記事)贈与税申告はいつから?申告を忘れてしまったときは?

 

相続時精算課税制度の適用要件

この制度を利用するには、贈与者と受贈者が以下の関係である必要があります。

  • 贈与者(あげる人): 贈与をした年の1月1日時点で60歳以上の父母または祖父母

 

  • 受贈者(もらう人): 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子または孫

注意: 成人年齢の引き下げ(18歳)および対象年齢の緩和(60歳)にご注意ください。

 

相続時精算課税制度を適用するための手続きと運用ルール

相続時精算課税制度を適用するための主な手続きと運用ルールは次のとおりです。

 

  • 届出が必要: 初めて適用を受ける年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書とともに「相続時精算課税選択届出書」を提出します。

 

  • 撤回不可: 一度この制度を選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻すことはできません。

 

  • 申告の要否: 改正により、年間の贈与額が110万円以下であれば、選択後であっても贈与税の申告は不要となりました。

(関連記事)【2024年最新】相続時精算課税の選択後、110万円以下の贈与でも申告は必要?

 

どんなときに相続時精算課税制度を活用すべき?

最新の税制下では、特に以下のようなケースで絶大なメリットがあります。

1. 相続財産が基礎控除額に近い、または下回る場合

相続税がかからない程度の資産規模であれば、この制度を使うことで、生前に多額の資産を無税で次世代に移転できます。

2. 値上がりが見込める資産の贈与

相続時に加算される価格は「贈与時の時価」で固定されます。将来値上がりが確実な不動産や非上場株式などを早めに贈与しておけば、値上がり分にかかる相続税をカットできます。

3. 収益不動産(アパートなど)

収益不動産を贈与すれば、それ以降に発生する賃料収入は子の手元に残ります。親の財産が増えるのを防ぎ、子の納税資金準備に充てることができます。

4. 少額ずつの生前贈与を継続したい場合

改正により「年110万円の基礎控除」が相続時に持ち戻されなくなったため、暦年課税における「亡くなる前7年分の持ち戻し(加算)」ルールを回避する手段として非常に有効です。

 

まとめ

2024年の改正を経て、相続時精算課税制度は「使いにくい特例」から「生前対策のスタンダード」へと変化しました。特に、少額贈与の非課税メリットと、多額資産の早期移転を両立できる点は強力です。

ただし、一度選択すると後戻りができないため、家族構成や資産状況に合わせたシミュレーションが不可欠です。最適な相続対策をご検討の方は、ぜひ専門家へご相談ください。