平成28年12月8日、自由民主党税制調査会より「平成29年度税制改正大綱」が公表されました。
相続税・贈与税に関して、平成29年度は新制度の創設などの大きな改正はありませんが、財産評価が実態に基づいて適正に評価されるように見直しが行われる他、一定の見直しが行われることとなりそうです。
相続税・贈与税に関する主な改正は次のものが予定されています。
1.事業承継税制の見直し
相続税精算課税制度に係る贈与を贈与税の納税猶予制度の適用対象に追加する他、一定の見直しが行われます。
2.相続税・贈与税の納税義務の見直し
国内に居住していない日本国籍を有する相続人等の納税義務について、国外財産が課税対象外とされる要件が厳格化される見直しが行われます。また、国内に住所・国籍を有しない者が、過去10年以内に国内に住所を有していた被相続人等から相続等で取得した国外財産が相続税の課税対象となります。
3.居住用超高層建築物(タワーマンション)の課税の見直し
平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(居住用で高さが60mを超える建築物)から、高層階ほど固定資産税評価額が高くなるように、固定資産税評価方法が見直しされます。
4.財産評価方法の見直し
(1)取引相場のない株式の評価における、類似業種比準方式について、適用する類似業種の上場株式の株価、連結決算の反映、配当・利益・純資産の比重割合についての見直しが行われます。また、評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社と中会社の適用範囲が拡大されます。
(2)広大地の評価を、面積に比例的に減額する評価方式から各土地の個性に応じて形状や面積に基づいて評価する方式に変更されます。これにより、形状のよい土地などは評価額が上がる可能性があります。
(3)株式保有特定会社の判定基準に新株予約権付社債が加えられます。
5.特定資産の買換の特例の見直しと延長
特定資産の買換の特例について、一定の見直しが行われた上で適用期間が延長されます。
6.移行計画の認定を受けた医療法人の贈与税非課税措置
移行計画の認定を受けた医療法人が、持ち分のない医療法人への移行をした場合に、その医療法人が放棄により受けた経済的利益に対して贈与税が非課税になる等の見直しが行われます。